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交通事故による「目」の後遺症について① 視力、視野、調節機能

2015.06.23更新

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交通事故後に生じた眼の障害は「眼球」の障害と、「まぶた」の障害の2つに大別されます。このうち眼球障害は、視力低下、視野障害、運動障害、調節機能障害に細分化され、それぞれの内容や程度によって等級認定基準が定められています。後遺障害として等級(労働能力損失の程度級)の認定を受けるには、自覚症状だけではなく、眼科・脳神経外科などで専門的な検査を行い、その症状が眼球や視神経そのものに器質的な損傷が存在していることを裏付けておく必要があります。

「視力障害による等級認定基準」

視力障害とは、視力の全部または一部を失った状態を指します。失明視力の測定は、最上級の1級1号に該当する両眼の眼球摘出や視力を完全に喪失している状態(失明)をのぞき、「万国式試視力表」が用いられますが、同程度と認められたほかの試視力表が採用されることもあります。1眼の視力が0.6以下で最下位(13級1号)として認められ、視力が下がるごとに等級が上がります。
両眼に視力障害を有する場合は、原則として等級表の基準に従って両眼の視力障害を認定するものとし、1眼ごとの等級により併合繰り上げを行ってはならないとされています。ただし、両眼の該当級よりもいずれか1眼の障害が上位で、1眼のみ障害として認定されます。例えば、1眼の視力が0.5、もう一方の視力が0.02の場合、両眼の視力障害は9級1号に該当しますが、1眼の視力としては8級1号となるため、より上位となる8級1号として認定されます。
等級認定の際に判定の対象となる視力は、眼鏡やコンタクトレンズ、眼内レンズ使用よって不等像視や不正乱視、屈折異常を可能な限り矯正することによって得られた「矯正視力」です。特に、コンタクトレンズは医師の管理下で3カ月以上、1日8時間以上連続装用し、視力が安定していることが前提となります。矯正が不能な場合は、裸眼視力によって等級が認定されます。

「視野障害による等級認定基準」

視野障害とは、視神経の損傷や網膜の出血、網膜動脈の閉塞等によって眼前の1点を注視した際に同時に見える外界の広さが(範囲)が狭まるものを言います。注視点を境に右(左)半分の視野が失われる半盲症、視野周辺が不明瞭となり日常生活に支障をきたす視野狭窄、視野の一部に暗転や欠損が見られる視野変状が挙げられます。
視野の測定には、ゴールドマン型視野計が用いられます。1眼に半盲症、視野狭窄または視野変状を残すものを13級3号、それらを両眼に残すものを9級3号として認定します。

「運動機能障害による等級認定基準」

運動機能障害は、眼球を上下左右に動かす眼筋(上斜筋・外眼筋など)とそれらを支配する脳神経(動眼神経・滑車神経など)が損傷によって生じたものを指します。眼球の運動が障害されると、1点注視(直視)できる範囲が狭まるほか、左右の眼球が同じ方向に動かず、物が二重に見える複視の症状が現れます。
運動機能障害の等級認定では、自覚症状の有無、眼筋麻痺の有無を確認する神経学的検査、両眼の動きを調べるヘススクリーンテスト(赤緑試験検査:ヘスチャート)によって行われ、その程度によって10級から13級の等級に分類されます。

「調節機能障害による等級認定基準」

調節機能障害とは、水晶体の“ピント調節機能”に異常をきたしている状態を指します。物を見る時、遠近のピントが合わなくなってしまうと、対象を正確に捉えることができません。
調節機能障害の等級認定では、アコモドポリレコーダーを用いた調節能力の検査を受ける必要があります。調節力は、D(Dioptorie)という単位で示され、年齢ごとの平均値を目安に判定を行います。調節能力が通常の2分の1以下に減じた状態を「著しい調節機能障害」とし、これが両眼に認められるものが11級1号に該当します。
調節機能障害が1眼のみの場合は、障害されていない側の調節力を基準として判定し著しい調節機能障害を認めるものを12級1号と定めています。障害されていない側の調節能力が1.5D以下または年齢が55歳以上に達している場合は、調節機能障害の認定対象外とされています。

交通事故による後遺症に対する賠償額は、後遺障害の等級によって大きく左右されます。適切かつ納得のできる認定を受けるためにも、後遺障害の等級認定について分からないことがあったら、専門の法律家に相談するようにしましょう。