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交通事故による臓器の障害「呼吸器、循環器」

2015.06.23更新

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交通事故の衝撃で胸部や腹部に収まる臓器に損傷を負い、その後の日常生活や就労に支障を来した場合は、損傷した臓器ごとに後遺障害等級が認められることがあります。中でも呼吸器・循環器に障害を残したものについては、医学的所見および運動負荷試験などの客観的データに基づき等級の認定が行われます。

呼吸器の後遺障害等級認定について

交通事故で肋骨を骨折した際に骨片が肺に刺さってしまったり、強い圧迫が原因で肺が潰れてしまったりなどの重症を負うことがあります。状態によっては肺の一部を切除することもあり、手術後は身体を起こして食事をとるだけでも息苦しくなってしまう場合もあります。

呼吸機能に障害を残したものについては、聴打診や心電図などの所見に加え、原則として「動脈血酸素分圧」と「動脈血炭酸ガス分圧」の検査結果と日常生活における介護の必要性や、就労への影響を総合的に検討し等級を判定します。

より上位の等級が認められる「著しい障害を残すもの」には、呼吸困難の程度を示す動脈血酸素分圧が50Torr以下・動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr以上43T0rr以下)にないものが該当します。このうち、日常生活において常時介護を要するものに対して1級2号、随時介護が必要なものに対しては2級2号が認められます。介護の必要性はないものの、就労に何らかの支障を来している場合は程度に応じて3級4号が認められます。以下、動脈血酸素および炭酸ガス分圧の限界値範囲と就労への影響により5級から11級が振り分けられます。

ただし、スパイロメトリーによる呼吸器量計測検査の結果により判定した等級が、動脈血酸素分圧または動脈血炭酸ガス分圧の結果で判定した等級よりも高かった場合には、より高い等級により認定が行われます。上記の検査だけでは呼吸機能の障害を明らかに立証できないものについては、他の運動負荷試験により評価を行います。

循環器の後遺障害等級認定について

心臓外傷や心筋梗塞によって心臓の機能が低下したものについては、日常生活においてどの程度身体を動かすことが制限されているかを基準に評価を行います。その際、METs(メッツ)という値が指標として用いられます。METsは、座位姿勢を取るときに必要な酸素摂取量を1METsとし、歩行や入浴などの身体活動が安静時の何倍に相当するかを表します。例えば、平地歩行は3METs、階段登りは6METsとなります。

後遺障害等級の認定では、「概ね6METsを超える強度の身体活動が制限されるもの」に対し9級、「概ね8METSを超える強度の身体活動が制限されるもの」に対して11級が認められます。

このほかにも、心臓補助機能として除細動器を埋め込んだものに対しては7級、ペースメーカーを埋め込んだものに対しては9級が認められます。また、心臓の弁を置換したもののうち「継続的に抗凝血薬療法」を行う必要があるものに対しては11級、大動脈に偽腔開存型の解離を残すものには11級が認められます。

交通事故によって臓器に損傷を負うことは珍しいことではありません。後遺障害等級の認定手続きや該当する等級について分からないことがあったら、専門の法律家に相談するようにしましょう。